音と私

忘れないように。語彙力皆無。

田中圭 舞台を観て

2022.11.12,13

f:id:otomimi:20221114213225j:image

 

夏の砂の上@世田谷パブリックシアター

 

舞台は何度か観に行ったことあるけど、この劇場には初めて訪れた。

三軒茶屋もなかなか行く機会はないから、とても新鮮に感じたし、あまり知らない土地はワクワクする。

数年前にもつカレー食べに行ったなぁって思いつつ土曜夜に覗いてみたものの、ちょうどお店が閉店時間後だった。残念。なかなかディープな場所だよね。

 

今回もまたラッキーなことに2回も観に行けるなんて…!連日!舞台は難しいから、私の頭では一度観ただけではなかなか自分の中に落とし込めなくて。だから2回観に行けると1回目観た時にわからなかったことの答え合わせができたり新たな発見があったりして良いんだよな。それでも全部を理解するには程遠いのだけど。

同じ公演だとしても、その時その時で変わるし、感じ方も変わるし、会場の雰囲気も全然違ってナマモノだよな〜たまらないな〜。

 

1日目は11月12日(土)18:00〜の公演を。母と一緒に。圭くん大好きな私にいつも付き合ってくれる。感謝。

2階席の2列目の真ん中辺りで、全体を見下ろせてなかなか見やすくて良い場所だった。

 

2日目は11月13日(日)13:00〜の公演を。共通の友人を通して圭くん大好きな子がいるということはずっと聞いていたけど、今回初めて一緒に。好きな気持ち共有できるの嬉しい。

1階席の真ん中辺りの少し右手側。前日よりも近くて表情までもよく見えてかなり集中してしまった。

 

ずーっと同じ部屋の中での出来事。もしかしたら場所が変化しない舞台を観たのは初かもしれない…多分。

 

少しだらしない感じの圭くん良い。圭くん演じる小浦治はどうしようもなさそうだし、頼り甲斐なさそうなんだけど、どこか放っておけない愛すべき人物に思えるのは、圭くんが演じるからこそだと思う。素朴が似合う。

彼はいつから孤独でこの先もいつまでもずっと孤独なのだろうか…どうにか彼の世界へ行って救えないものか、と考えてしまった。

じっとしていても汗が垂れ流れてくるような暑い熱い夏。蝉の音と冷えた麦茶と扇風機の微風。畳の部屋は熱を溜めにくいのだろうか。だんだんと秋に向かっていくように虫の声が変わっていくのが切なかった。

 

孤独な夏に孤独を抱えた姪の優子が小浦治の妹である母に連れられてやってきて、突然一緒に暮らすことになって。必要以上にお互いを干渉せず暮らしててちょうどよい距離感。自分が抱えている孤独をそれぞれ口に出した時、水不足の地に久しぶりの雨。2人が一緒に雨水を飲むシーンはグッときた。美味しい、を分かち合える人がいるって幸せなことなんだよな。小浦治も優子もポジティブな感情が動いていた瞬間はこの水を飲んだこの瞬間だけだったような気がする。

 

でも、また周りの身勝手さによって突然終了してしまう。周りというか優子の母であり、治の妹によって。この2人の空間がこのまま続けば良いのに、そう思わずにはいられなかった。母親に振り回されて、幼い頃から何度も引越しや転校を繰り返している優子。まだ大人ではない彼女は母親に従うしかないのだろうか。最初のほうは言葉遣いさえも支配されていたもんな。きっとまたこの先も同じことの繰り返しだろうな。ただ、母親のことが好きなんだと思うし、愛されたいのだろうな。

恋人関係?にあった、バイト先の先輩の立山の家庭の食卓は、優子が望まないようにしてきた現実を刺激されてしまって辛かったのかもしれないな。

どんなに振り回されても家族ってなかなか嫌いになれなかったりするよね。度合いにもよるだろうけど。

 

そして母親に連れていかれる優子を見送る小浦治。ひとりきり孤独になってしまう。もう孤独であることに慣れてしまっただろうか。痛みすらも感じないほどに。いや、自らが痛みを感じないように、自分の子どもを事故で亡くなってしまったあの日からずっと感情を消してしまっていたのではないだろうか。その結果、妻もそんな彼に愛想を尽かしてしまったのだろうか…。愛想を尽かしたわけではなく、ただただ寂しかったのかもしれない。子どもが生きていた時の夫婦は、この家族は一体どんなふうにこの部屋で過ごしていたのだろうか。

部屋にひとりだけ置き去りにされたかのように孤独で終わるなんてなんとも寂しいラストシーン。

 

家族や友達や恋人や夫婦など、人との繋がりや愛っていうものについて、いろいろと考えてしまうような作品だった。愛する子どもも友人も急な事故で帰らぬ人となった。愛していたはずの妻や夫が浮気をして出て行ってしまった。何度も恋人が変わる母親。長崎の原爆の話も出ていたし、一瞬で世界が変わってしまうこともある。いつ何が起こるかわからない人生。日々をもっと大切にしなければ。今日会えた人にまた明日会えるとは限らないのだ。今この瞬間から次の瞬間にはもう二度と会えないかもしれないのだ。自分自身がいなくなってるかもしれない。今ここにある愛が永遠に続くなんてのは理想でしかないのかもしれない。揺るぎないものってこの世にあるのだろうか。

いろいろ考えるとどんどん深みにはまっていって生きづらくなってしまいそう。小浦治には優子という存在がいることでどこか救われていてほしい。優子も同じように。

 

しかし、長崎弁いいよねえ。すごく好き。九州の方言って温かみがあってすごく好き。西田尚美さんの話し方がとても好みだった。ナチュラルな演技をされる方だな〜と思っていたけど、舞台で初めて生の演技を観て、やっぱりナチュラルですごいなと思った。芝居してる感じがないというか、小浦恵子にしか見えなかった。素敵。

 

そして優子役の山田杏奈ちゃん。めちゃくちゃ透明感があってかわいかった。テレビで見るよりもずっとずっとかわいい。強く触れてしまったら壊してしまいそうな儚さもあって役にピッタリな感じ。あと声もとても聞き取りやすくて良かった!

 

他の演者さんもみんなナチュラルだったな〜その役の人物にしか見えない。見応え抜群!

また生きているお芝居を観に行きたい!と思えた。じっとりとした感覚を胸に抱きつつ。

 

語彙力ないし、読み取れてないことだらけだろうけど備忘録として。舞台観てすぐ書き留めたけど、なんとなく更新するのに躊躇してしまった。

 

圭くんの纏う雰囲気とそして声が心地よくて好きだな〜と改めて感じた2日間だった。身体全体から放つオーラが魅力的すぎて今後も目が離せない。

 

最後に一言。

田中圭、腕の筋肉のつき方かっこよすぎ。