tk2tk 「アイスクリーム」を聴いて
2020.07.22
デジタルリリース
tk2tk(タカツタカ)「アイスクリーム」
待ちに待った日。
大好きなバンド、reading noteの2人(平田勝久さん、遠藤タカヒロさん)がユニットを組んで新たなスタート。
この曲はバンドが活動休止をして、平田さんがソロとして活動を始めて初めて作った曲。
あの日のライブで初披露したときのことはとても覚えている。平田さんにしかかけないな、こんな曲は。って思った。胸が締め付けられるほど愛しくて切なくてどうしようもない。その時のこの曲のタイトルは「独り占め」だった。ピンとくるタイトルだった。
それから、ライブや配信などでえんちゃんがギターで入って、この曲の色が変わったなーって感じがした。平田さんひとりで歌ってる時はもっと泥どろしくて…うーんなんか白黒の世界って感じかな。
今回リリースするにあたって、さらにたくさんのサポートの方に彩られ、白黒の世界から色がついた世界に変わったって感じ。君がいた世界の綺麗さとかがより際立って切なさが何倍にも増えた気がする。
「独り占め」というタイトルが「アイスクリーム」に変わります。と聞いた時は、えーあれは独り占めってタイトルだからいいんでしょ!って思ったけど、実際に新しく完成した曲を聴いた時にストンと落ちた。
それにライブで初披露してくれた時、人間関係をアイスクリームに例えて話をしてくれたことを思い出して、多分たくさんの人にこの曲が触れて溶けていったからなのだろうなと思った。この先もいろいろな人に聴かれていくと思うとピッタリだなって思った。
冒頭のギターとピアノの部分、最高すぎる。情緒揺さぶりまくってくる。曲の世界に手を招かれていく感じ。そこで平田さんの歌声が入った瞬間にグッと手を引かれて連れて行かれる。あぁもうたまらない。
何度も言うけど、ブラジャーという単語は衝撃的で。でもこんなにいやらしくなく歌詞に取り入れられるのは才能だよなと思う。小説みたい。そういう表現が必要不可欠である感じ。そう、この曲はすごく小説っぽい。一節を読んでいるかのような気分になる。歌詞のひとつひとつが鮮明で情景が浮かんでくる。
間奏部分のえんちゃんのギターの音色がとても綺麗で美しくて儚くて心地良さも感じるのに刹那的で胸がきゅっとなる。まさにこの中の「君」っていう感じ。
聴き惚れていると、フェードインしてくる平田さんの歌声が「僕」っていう感じで、そこからラストスパートにかけて最高潮に甘苦さが盛り上がる。じわじわと後半にかけて鼓動が高まって苦しさ満点。
アウトロもとても素敵で、高まった鼓動を少しずつ落ち着かせてくれるような、今度はフェードアウトしていくような感じ。だけど、どうしようもないこの気持ちがずっと漂ったままで終わる。余韻残しすぎ。最高。
甘すぎるアイスクリームって舌の上に乗せると、ひんやりして気持ち良くてその甘さにうっとりとするのに、あっという間に舌の上で溶けていって飲み込むと後味がちょっと苦く感じることもあるよね。喉まで苦い感じ。それが途中で飽きてしまうこともあるし、食べ終えた時は満足感がすごい。くどい。シャーベットとかさっぱりしたアイスにはない感覚。
甘すぎも熱くなりすぎもよくないんだろうけど、程々が良いんだろうけど、それがどうしようも欲しくなってしまうのが人間なんだろうな。そしてそれを得た時のどんな感情よりも、欲している時の気持ちのほうがきっとずっと強い。手に入りそうで入らなそうなものほど欲しくてたまらなくなるんだよね。
平田さんの歌声や歌い方は少年ぽさもあるのに色気があって、子どもと大人の狭間の脆さみたいなものが強い。その脆さがこの儚いメロディにとてもマッチしてる。
個人的には少し薄暗い部屋で聴くのが好き。どっぷりと世界に浸かれる。
そしてMVがとてもとても素敵。こんなに美しい映像は久しぶりに見たかもしれない。数分間目が離せなくなる。終わり方がツボだった。
塩見きらちゃんがめちゃくちゃかわいすぎるし、曲の雰囲気にピッタリな儚さを持っていてたまらない。そして平田さんのハッキリ映らない横顔も想像力を掻き立てるものがあって良いな。
たくさんの人が観るべきものだと思う!そうじゃないともったいない!
いつか溶けてなくなって消えてしまうなんて寂しい。寂しすぎるな。だけど、いつまでも取れないくらい残されるものも私にだけじゃなく君にもあってくれればいいな、と思う。
独り占めしたいほど欲しいものがあるっていうのもとても素敵なこと。欲は忘れたくない。
なんかいろいろ矛盾しているような気になるし、この曲のことを上手く噛み砕けていない気もするけど、このファーストインプレッションを残しておきたくて。
reading note の時とは全然違うのに、平田さんとえんちゃんのエキスがたっぷり感じられる素敵すぎるスタートの曲。
tk2tkの次の曲への期待が膨らまずにはいられない。
なんだかんだ言っても上手く言えないけど、とにかく最高すぎる、っていうこと。